掲載日:2022年3月17日
読書は選ぶところから始まっています。
読みのプロでもある著作家の豊かな選書をお楽しみください。
本フェアは2022年5月8日まで神保町本店1階で開催しております。
神保町本店は2022年5月8日で一時閉店いたしますが
これからも、本というバトンをつなぎ続けます!
(選者の方は順不同で敬称は省略させて頂いております。)
「たてがみを捨てたライオンたち」 白岩玄著
選者:山崎ナオコーラ
育児、仕事、恋愛、何をするにも「性別」が付いて回ってきて、実は、「男性」たちも生きにくさを感じている。そのことが、とても繊細に、至極丁寧に、描かれます。「女性」は生きにくい、ってよく思うけど、「男性」だったとしても生きにくかったかも? 考えさせられます。
「老人と海」 アーネスト・ヘミングウェイ著
選者:山崎ナオコーラ
人とあまり会わなくなった昨今。実は、人と会わなくても、物語は生まれるんですね。登場人物が少なく、海だの魚だの思い出だのといった人間ではないものとばかり会話する孤独な物語だが、ダイナミック。今、改めて読み直すと、やっぱり傑作ですね。
「Tugumi」 よしもとばなな著
選者:山崎ナオコーラ
爆発的ヒットした青春小説。今の若い方にもぜひ読んでもらいたい。ちょっとした朗報です。私もなんですが、性格が悪かったり、一重瞼にコンプレックスがあったりする方へ。つぐみは愛され美少女で、且つ、性格が悪くて、一重瞼なんですよ。
「野川」 長野まゆみ著
選者:山崎ナオコーラ
私も愛する「野川」という川を舞台に、中学生と先生の交流が描かれます。私も青春時代に出会いたかった……、あるいは子どもが出会ってくれたら嬉しい……、そんな憧れの先生がこの本の中にいます。
「虫けら様」 秋山亜由子著
選者:山崎ナオコーラ
大きな世界を見ることだけが旅じゃない、小さな世界を見ることも旅だ。虫を愛する著者が、長年かけて描いた虫たちの世界。覗いてみると、ひとつの旅をするぐらいの満足感が得られます。
「新美南吉童話集」 新美南吉著
選者:panpanya
三省堂書店神保町本店について
講談社版の文庫本を一冊持っていたけど別のも読みたくなり、2000年頃ここ三省堂書店神保町本店で買いました。愛読書。
「残穢」 小野不由美著
選者:panpanya
建て替えについて
土地の来歴を紐解くことについての凝縮されたわくわく感があり、普段何気なく見ている景色に新しい着眼点をくれました。
「走らないのになぜ「ご馳走」?」 日本放送協会著
選者:panpanya
繰り返し手に取る本
将来的にふと疑問に思いそうな、あるいは過去にふと疑問に思ったことのある、言われてみれば気になる日本語について沢山書かれています。中身ももちろん面白いですが、目次だけ見てあれこれ思い巡らすというのも楽しいです。
「ふくろうくん」 アーノルド・ローベル著
選者:panpanya
子供のときから好きな本
ずっと本棚にあります。久しぶりに手に取りましたが、色褪せない親近感があります。
「死ぬまでに行きたい海」 岸本佐知子著
選者:panpanya
去年読んでよかった本
昔の記憶というのは軽快さと哀愁がブレンドされた不思議な質感があったりするものですが、それを思い起こさせる不思議な文章で、個人的に心によく馴染む本でした。
「屍人荘の殺人」 今村昌弘著
選者:相沢沙呼
mediumを構成する特殊設定ミステリ
特殊設定ミステリブームの火付け役と言っても過言ではないミステリ。特殊設定の楽しみを味わえるだけではなく、本格ミステリ定番のクローズドサークルの入門としてもうってつけ。
「明治断頭台」 山田風太郎著
選者:相沢沙呼
mediumを構成する霊媒ミステリ
霊媒師が殺された人間を自分の身に憑依させて、いったいどんなトリックで、どんなふうに殺されたのかを語ってもらうという。とんでもないシチュエーションで解決する驚異の連作短編。こんなとんでもないミステリが40年も前からあるなんて。
「隻眼の少女」 麻耶雄嵩著
選者:相沢沙呼
mediumを構成する美少女探偵ミステリ
本格論理を駆使する美少女探偵! しかも隻眼で義眼で碧眼! あっと驚く荒唐無稽な展開と論理の融合は他では見られない凄まじさ。
「福家警部補の挨拶」 大倉崇裕著
選者:相沢沙呼
mediumを構成する倒叙ミステリ
ドラマでお馴染み『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のような倒叙ミステリを小説の形式で味わうことができる数少ないミステリ! 犯人を知っているからこその緊張感や、犯人が犯したミスに気づいたときの独特の読書経験を!
「ブギ-ポップは笑わない」 上遠野浩平著
選者:相沢沙呼
mediumを構成するライトノベル
この作品を読んで小説家になろうと決意した作家は多いライトノベルの傑作! ミステリ的な色のある構成の巧みさは、今読んでも色褪せることがない。これを読んでみんなも作家になろう!
「ウサギ料理は殺しの味」 ピエール・シニアック著
選者:青崎有吾
変なミステリ
千鳥ノブじゃなくても大クセじゃ!と叫びたくなる唯一無二の奇書。長いこと絶版で推薦できず涙を呑んでいましたが、このたびめでたく復刊。やったぜ。ぜひともこの物語に迷い込み、真相に酔っていただきたい。いわゆる「バカミス」とは次元の異なる驚愕があなたを待っています。
「平成怪奇小説傑作集 1」 東雅夫編
選者:青崎有吾
ハズレなし
ここ数年で一番お気に入りのアンソロジー。タイトルに偽りなくハズレなしの傑作ぞろい。並べ方にも編者の技が光り、「土地から家へ」といった怪異ムーブメントの変遷もおぼろげながら見えてきます。2巻&3巻もぜひ。
「新明解国語辞典」 山田忠雄他編
選者:青崎有吾
趣味
去年あたりから語源調べにハマり、気になる語句を見つけるたび本やネットを参照しています。中でもこれは最強の一冊。どのページを開いても面白い。中学レベルの文法しか知らない僕のようなボンクラでも大いに楽しめます。さて「ボンクラ」の語源は? 調べてみましょう。
「安達としまむら 1」 漫画:柚原もけ 原作:入間人間
選者:青崎有吾
恋
伊坂幸太郎さんの『グラスホッパー』には、『罪と罰』だけを何度も読み返しほかの本は一切読まない〈鯨〉という殺し屋が出てきましたが、僕が鯨みたいになるとしたら、僕にとっての『罪と罰』は『安達としまむら』になるでしょう。
「30センチの冒険」 三崎亜記著
選者:青崎有吾
大人も子どもも
遠近の概念が狂った不思議な世界に現れたのは、一本の30センチ定規を持った男。世界を救うため、彼には何ができるのか……。何かと「立ち位置」が求められる現代に向けた、寓意に富んだファンタジー。大人にもお子さんにもおすすめです。
「ロスト・シング」 ショ-ン・タン著
選者:蒼月海里
不思議な世界に旅する本
「見るからに変わった様子」の生き物(?)の居場所を探して旅する物語です。シュールな世界観ですが、物語はやけに現実を彷彿とさせて不思議な気分になれます。大人も読んでほしい絵本です。
「鉱物 人と文化をめぐる物語」 堀秀道著
選者:蒼月海里
不思議な世界に旅する本
鉱物学者・堀秀道先生による鉱物エッセイです。誕生石の逸話から、東京国際ミネラルフェアの始まりまで綴られた、鉱物好き必見の一冊です。
「層窟祭」 六七質著
選者:蒼月海里
不思議な世界に旅する本
装画で大変お世話になっている六七質さんの画集です。圧倒的な世界観と描き込みは目を見張るものがあります。色鮮やかで美しい世界を旅したい方へ。
「ナショジオが行ってみた究極の洞窟」 ナショナルジオグラフィック編集部著
選者:蒼月海里
不思議な世界に旅する本
私たちの足の下に広がる地下世界に行ける本です。お馴染みの「結晶の洞窟」の構造と成り立ちも明らかに。地球の神秘に触れたい方へ。
「プラネタリウム・ゴースト・トラベル」 坂月さかな著
選者:蒼月海里
不思議な世界に旅する本
美しくもあり、何処か切ない気持ちにもなる物語が多数収められた本です。星空の下を旅しながら、あたたかい孤独に触れたい方へ。
「本陣殺人事件」 横溝正史著
選者:綾辻行人
綾辻行人が多大な影響を受けた国内ミステリー五選
ご存じ、名探偵金田一耕助が初めて登場する記念碑的作品。少年時代にこれを読んで僕は、「本格探偵小説とはこのような書き方をするべきものなのだ」ということを学んだのでした。僕にとっては「本格の教科書」のような作品なので愛着が深いのですが、横溝正史先生の最高傑作はやはり『獄門島』だろうとも考えています。
「斜め屋敷の犯罪」 島田荘司著
選者:綾辻行人
綾辻行人が多大な影響を受けた国内ミステリー五選
学生時代に読んで、「こんなとんでもない大トリックを中心に据えた〝松本清張以前〟的な本格ミステリーを今、書いてもいいのか」と驚き、大いに励まされたものでした(当時はこういう作品が本当に少なかったのです)。のちに僕が「館」シリーズという連作を始めたのも、『斜め屋敷』のインパクトが一因としてあったのだと思います。
「匣の中の失楽」 竹本健治著
選者:綾辻行人
綾辻行人が多大な影響を受けた国内ミステリー五選
いわゆる三大奇書――小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、夢野久作『ドグラ・マグラ』、中井英夫『虚無への供物』に続く「第四の奇書」として語られることが多い傑作。この作品を初めとする竹本健治さんの文章・文体が僕は大好きで、「自分もこのように書きたいな」と憧れて習作に取り組んでいた時期がありました。
「孤島の鬼」 江戸川乱歩著
選者:綾辻行人
綾辻行人が多大な影響を受けた国内ミステリー五選
最も好きな江戸川乱歩さんの長編。本格ミステリー的な要素もありますが、全体としては異形なる怪奇冒険小説とでも呼ぶべきでしょう。この傑作に触発され、「自分なりの『孤島の鬼』を」という思いも持ちつつ書いたのが『暗黒館の殺人』でした。
「夜よ鼠たちのために」 連城三紀彦著
選者:綾辻行人
綾辻行人が多大な影響を受けた国内ミステリー五選
いわゆる「叙述トリック」の面白さと可能性を思い知らされた傑作短編集。連城三紀彦さんほど見事に読者を「騙す」力と技を持った作家を、いまだに僕は知りません。「連城さんのように書ければ」と思いつつ書こうとした時期もあったのですが、とうてい自分には無理だと悟って、自分なりのやり方を模索することになりました。
「甲賀忍法帖」 山田風太郎著
選者:新井素子
甲賀と伊賀の忍法争い。出てくる忍者が全員、奇想天外ここに極まる。面白いんだけれど……読後感、どえらく切ない。傑作です。
「デルフィニア戦記 第1部 1」 茅田砂胡著
選者:新井素子
おうち時間に最適。とにかく楽しい。十八冊(+番外編複数)もあるので、長持ちするし。おうち時間が明るくなること必定。
「シャイニング 上」 スティ-ヴン・キング著
選者:新井素子
夜。ベッドの中で読んだ。そして……生まれて初めて、怖くてトイレに行けなくなった。こんな怖いお話、ないと思う。
「シャイニング 下」 スティ-ヴン・キング著
選者:新井素子
夜。ベッドの中で読んだ。そして……生まれて初めて、怖くてトイレに行けなくなった。こんな怖いお話、ないと思う。
「産霊山秘録」 半村良著
選者:新井素子
まさに伝奇SF! 織田信長の時代から幕末、更には月まで駆け抜ける。子供の頃にこれ読めて、私はほんとに幸せでした。
「冥途/旅順入城式」 内田百間著
選者:安野モヨコ
今でも印象に残っている小説
版画を重ねたような夕暮れの空気や匂い、その薄暗さまでがはっきりわかる。百間の文章は情景の描写が多いわけでもないのに目の前で見えているかのようにありありと目に浮かぶ。ただそれだけで何度も読んでしまう。
「ジゴロとジゴレット」 サマセット・モ-ム著
選者:安野モヨコ
今でも印象に残っている小説
モームは好きでいろいろ読んだけどそれは本当に読者として楽しむばかりだった。小説という技法を知り抜いてるひとが作ったものなので、他のジャンルに作り替えるのは難しい。その中で唯一ラフスケッチみたいな線で漫画にしてみたいな、と思った作品。
「久生十蘭短篇選」 久生十蘭著
選者:安野モヨコ
今でも印象に残っている小説
旅先で読んで三百年生きたらどうするかをしばらく考えていた。絶対に仕事などしないで100年は暴れまわって遊んで100年は読書して100年は人のために生きようと思った。
「顔に降りかかる雨 新装版」 桐野夏生著
選者:伊集院静
桐野さんの存在感を世界に示した、情感あふれる名作です。
「八日目の蝉」 角田光代著
選者:伊集院静
平凡な勤め人である主人公が、ある瞬間に思いをほとばしらせて大胆な行動に出る。その心理を見事に描写していて、思わず引き込まれます。
「韃靼の馬 上」 辻原登
選者:伊集院静
歴史考察のすばらしさと文章の静謐さは抜群です。
「韃靼の馬 下」 辻原登
選者:伊集院静
歴史考察のすばらしさと文章の静謐さは抜群です。
「新宿鮫 新宿鮫1」
選者:伊集院静
どれもみな、読めば心おどる作品群です。とにかく面白い。
「月夜の森の梟」 小池真理子著
選者:伊集院静
最新作ながら、かくもプロの作家の筆の力と熱情とを感じるものはありません。
「遺伝子 上」シッダールタ・ムカジー著
選者:柞刈湯葉
子が親に似るという全生命の支配法則を、科学者たちがいかに解明してきたか、国家権力にどう利用されたか。文理を問わず読んでほしい名作です。
「遺伝子 下」シッダールタ・ムカジー著
選者:柞刈湯葉
子が親に似るという全生命の支配法則を、科学者たちがいかに解明してきたか、国家権力にどう利用されたか。文理を問わず読んでほしい名作です。
「生命の星の条件を探る」 阿部豊著
選者:柞刈湯葉
地球を奇跡の星だと思っているなら、ぜひ本書を手にしてほしい。……やっぱり奇跡の星かもしれない。
「ウイルスの意味論」 山内一也著
選者:柞刈湯葉
いま全世界を悩ませる、見えない「やつら」の多彩なドラマ。その技巧に満ちた生存能力に、愛情さえ湧いてくる。
「人体,なんでそうなった?」 ネイサン・レンツ著
選者:柞刈湯葉
我々の体はこんなにも不合理で不完全だ。それを覚えておくだけで、生きるのが少し楽になる。
「ヒーラ細胞の数奇な運命」 レベッカ・スクルート著
選者:柞刈湯葉
本人の死後70年も増え続け、現代医学を支える不死細胞ヒーラ。それほど偉大な母を持ちながら、医療保険さえ入れない子供たちの衝撃の実話。