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著名人選書フェア その5

読書は選ぶところから始まっています。
読みのプロでもある著作家の豊かな選書をお楽しみください。
本フェアは2022年5月8日まで神保町本店1階で開催しております。
神保町本店は2022年5月8日で一時閉店いたしますが
これからも、本というバトンをつなぎ続けます!
(選者の方は順不同で敬称は省略させて頂いております。)

「ブラウン神父の童心」 ギルバ-ト・キ-ス・チェスタトン著

選者:加納朋子
原点の一冊

「本格ミステリ」という言葉を知るはるか以前に出会った、私の原点とも言える作品です。短編なのでテンポの良さが小気味よく、「おお、なるほど」と膝を打つようなトリックや、ユーモア溢れるキャラクター造形と、大好きな要素がてんこもりです。

「賢い犬リリエンタ-ル 1」 葦原大介著

選者:加納朋子
忘れられない思い出の一冊

最終巻を入院中のベッドの上で読んだことは忘れられない思い出です。とても元気の出る、本当に素敵な作品でした。同じ作者の『ワールドトリガー』も大好きです。生きて物語のその先を読める幸せ! 作者の葦原先生のご健康を、心より願っています。

「迷 まよう」 アミの会(仮)著

選者:加納朋子
人生迷ったり惑ったりよね、の二冊

二冊セットでお薦めします! 女性作家による〈アミの会〉に豪華ゲストをお迎えした、たいへん密度の濃いアンソロジーです。実は私も参加させていただいていますが、決して手前味噌ではないことを断言いたします。この本がきっかけで、新たにお気に入りの作家、物語に出会っていただけると嬉しいです!

「惑 まどう」 アミの会(仮)著

選者:加納朋子
人生迷ったり惑ったりよね、の二冊

二冊セットでお薦めします! 女性作家による〈アミの会〉に豪華ゲストをお迎えした、たいへん密度の濃いアンソロジーです。実は私も参加させていただいていますが、決して手前味噌ではないことを断言いたします。この本がきっかけで、新たにお気に入りの作家、物語に出会っていただけると嬉しいです!

「一万円選書」 岩田徹著

選者:加納朋子
迷える本好きにお薦めの一冊

本が売れないこの時代に、書店主自ら読破した中から、熱意を込めてお薦めしてくれる……書き手側としても胸が熱くなるような一冊ですが、読み手側としてもたいへんに参考になり、読みたい本が一気に増えることは請け合いです。

「一茶俳句集」 小林一茶著

選者:鴨川つばめ

コメントをPOPで頂きました。本フェア上部にPOP画像がございます。

「甲賀忍法帖」 山田風太郎著

選者:菊地秀行

作家になりたいと思わせてくれた本。著者の足下にも及ばないが、お陰で作家になれた。

「火星年代記」 レイ・ブラッドベリ著

選者:菊地秀行

SF作家になりたいと思わせてくれた本。この一冊がなければ、日本のSFは出だしで終わっていただろう。

「吸血鬼ドラキュラ」 ブラム・スト-カ-著

選者:菊地秀行

今ではとても読み返せない大部な一冊。実は英ハマー・プロの映画版を見て凍りついた挙句に手を伸ばしたのだが、実にスリリングで手に汗握らせる。ただし映画には及ばない。

「ラヴクラフト全集 1」 ハワ-ド・フィリップス・ラヴクラフト著

選者:菊地秀行

ある意味読みこなすのがしんどい作品群だが、怪物もの三部作(「インスマスの影」「クトゥルーの呼び声」「ダンウィッチの怪」)は実に

「アダムとイヴの日記」 マーク・トウェイン著

選者:北村薫

旺文社文庫版を中学生の時に読み心に刻んだ女子が福武書店に入り、熱心に推して福武文庫から再刊、それが時をこえ今世紀、河出文庫から三度目の出版となりました。この形で読んでほしい。本とは、単なる情報伝達の手段ではない。パソコン画面の文字では、絶対に伝えられないものが、ここにあります。

「葉っぱ描命」 群馬直美著

選者:北村薫

まずは、「神さまの仕業―下仁田ネギの一生―」を見てください。読みごたえのある小説と同じ味わいがあります。葉っぱの虫くいの跡も、ネギに触れた手の痕も、すべて描きこんでいく著者。あるがままの命がとらえられています。

「童謡が輝いていた頃」 服部公一著

選者:北村薫

自叙伝といいながら、なんと明治生まれの祖母のことから書き出されます。まだ西洋音楽が珍しかった時代、小学校で足踏み式オルガンと出会った少女。彼女は、日本初のオペラ上演にもかかわるようになります。祖母から孫の物語が展開されます。

「青嵐の庭にすわる」 森下典子著

選者:北村薫

《史上初の現代劇のお茶の映画》「日々是好日」が、いかに作られたかを、その現場にいた原作者が語っています。実はそうだったのか――という驚きの連続です。師である武田先生の大きさにうたれます。また、濃茶手前を演じる樹木希林の姿は忘れがたいものです。

「谷崎マンガ」 谷崎潤一郎著

選者:北村薫

これが文庫化されたことを話しても、意外なほど知られていない。そこであげておきます。作者名を列記しておきましょう。山口晃、しりあがり寿、高野文子、古屋兎丸、中村明日美子、近藤聡乃、西村ツチカ、山田参助、今日マチ子、榎本俊二、久世番子。

「マチズモを削り取れ」 武田砂鉄著

選者:桐野夏生

ったトイレの便座が上がっていると、大抵の女は前に使った男の首を絞めたくなる。どうして男は女が使うことを考えないのだ、と。当の男が気付いていない、男仕様の世の中を斬る痛快な本。

「田辺聖子十八歳の日の記録」 田辺聖子著

選者:桐野夏生

私は人の日記を読むのが好き。「日記は書けば書くほど、心の中が整理され、頭も澄み渡って来る」と書いた著者は、まだ十八歳。当時の少女のリテラシーの高さに驚く。

「贖罪」 吉田喜重著

選者:桐野夏生

経験と知識と洞察力と想像力と。本物の知性とは、こういうことを言うのだろう。心から好きな本。そして、心から尊敬する著者。

「人間晩年図巻2000-03年」 関川夏央著

選者:桐野夏生

山田風太郎の『人間臨終図鑑』を思い起こすが、こちらは没年によって分けられている。その人物の晩年から人生を振り返る。死に方は、生き方を表す。

「人間晩年図巻2004-07年」 関川夏央著

選者:桐野夏生

山田風太郎の『人間臨終図鑑』を思い起こすが、こちらは没年によって分けられている。その人物の晩年から人生を振り返る。死に方は、生き方を表す。

「人間晩年図巻2008-11年3月11日」 関川夏央著

選者:桐野夏生

山田風太郎の『人間臨終図鑑』を思い起こすが、こちらは没年によって分けられている。その人物の晩年から人生を振り返る。死に方は、生き方を表す。

「月」 辺見庸著

選者:桐野夏生

善良で無害に見える「さとくん」は、何者なのか。「ひと」を「ひと」と思わないこととは、どういうことか。この本には、底知れない文学の力がある。

「ペッパーズ・ゴースト」 伊坂幸太郎著

選者:工藤ノリコ

読書好きの弟が、自分が読んだ中から私が好みそうな小説を選んですすめてくれ、それを次々に読んでいます。その中で、伊坂幸太郎さんの作品のファンになりました。この本は「伊坂さんの作品のここが好き」というものすべてが詰まっていて、最高に面白いです。お話の面白さだけでなく、伊坂さんの文体を読むことも、いつもとても好きです。

「線は、僕を描く」 砥上裕將著

選者:工藤ノリコ

絵本の仕事を続ける中、もっとよい絵を描きたいと模索を続けて20年以上になりますが、ようやく自分なりの答えをつかみかけたちょうどその頃に、たまたま弟がこの本をすすめてくれました。主人公の先輩絵師の描写に、いま自分にみえてきたこの道で間違っていないと感じ、以来この先輩絵師がいつも心の中にいます。水墨画ではない絵を描く私にとっても、生涯の助けになる本となりました。

「羊と鋼の森」 宮下奈都

選者:工藤ノリコ

目に見えず形もなく、数値化することのできない美しいものを、自らの感覚を頼りに探し出し、経験と技術で完璧に近づけていく…この本でピアノ調律師の仕事を知り、深い共感を覚えました。また全編に満ちる確かで静謐な世界観に、強く心を打たれました。これを私にすすめてくれた弟もまた、知人にすすめられて読んだと聞き、この本をすすめて下さるような人の輪の中で弟が暮らしていることに、安堵と嬉しさを感じました。

「秘密の花園」 フランシス・エリザ・バ-ネット著

選者:工藤ノリコ

30代のころ母のすすめで読んでみると、私にとって大切なことがすべて描いてあり、以来この物語が心の指針となりました。我が心のバイブル、永遠のベスト・ワンです。

「空海の風景 上」 司馬遼太郎著

選者:工藤ノリコ

サイン会で徳島を訪れた折、偶然通りかかって参拝したお寺が第1番札所・霊山寺でした。帰宅後よく考えてみると私の実家は真言宗であり、いつも仏壇で見ている、誰なのか気にとめていなかったお坊さんの肖像画は空海さんであったのかと初めて気がつき、ご縁を感じました。東洋哲学に通じる先生に教わってこの本を読んでみると、空海さんは尋常ならざる超人であり、殊に遣唐使のときの大活躍には本当に胸が踊りました。また中国の文化にますます興味を抱くようにもなりました。

「空海の風景 下」 司馬遼太郎著

選者:工藤ノリコ

サイン会で徳島を訪れた折、偶然通りかかって参拝したお寺が第1番札所・霊山寺でした。帰宅後よく考えてみると私の実家は真言宗であり、いつも仏壇で見ている、誰なのか気にとめていなかったお坊さんの肖像画は空海さんであったのかと初めて気がつき、ご縁を感じました。東洋哲学に通じる先生に教わってこの本を読んでみると、空海さんは尋常ならざる超人であり、殊に遣唐使のときの大活躍には本当に胸が踊りました。また中国の文化にますます興味を抱くようにもなりました。

「どくろ杯」 金子光晴著

選者:近藤史恵
旅に出たくなる本

十代の頃から何度も読み返しています。旅の寄る辺なさとか、不安とか、それでも旅立たずにいられない気持ちとかが詰まっています。続編の「ねむれ巴里」も大好きです。

「ノスタルジア食堂」 イスクラ著

選者:近藤史恵
旅に出たくなる本

旧共産圏のメニューを再現したレシピがたくさん。身近なわけではないのに、なぜか懐かしくなります。旅の記録も素敵です。

「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」 川内有緒著

選者:近藤史恵
美術館に行きたくなる本

タイトルのイメージが完全に塗り替えられます。体験こそがアートであり、いろんな人と関わることで豊かな体験になっていくのだなと実感しました。

「優しい暴力の時代」 チョン・イヒョン著

選者:近藤史恵
韓国文学が読みたくなる本

韓国の、特に女性作家の作品が好きです。どこか経験や感覚が近いようでいて、はっとさせられることも多いです。

「朝倉かすみリクエスト!スカートのアンソロジー」 朝倉かすみ著

選者:近藤史恵
アンソロジーが読みたくなる本

短編小説を読むのが好きなのですが、チャレンジングなアンソロジーでとても楽しめました。リクエストアンソロジーシリーズには、わたしがお願いした「ペットのアンソロジー」もありますので、そちらもぜひ。

「サンダカン八番娼館」 山崎朋子著

選者:桜木紫乃
女の仕事

100年のあいだに、女はなにを得てなにを失ったんだろう。読み返すたびに、何も変わっていないような気持ちになるんです。

「山田詠美対談集 メンアットワ−ク」 山田詠美著

選者:桜木紫乃
作家の視点

聞けば必ず欲しい言葉がこぼれ落ちてくる。新鮮で、少し痛くて、丸裸で正直な対談集です。

「歌うように伝えたい」 塩見三省著

選者:桜木紫乃
復活と再生

人は2度生きたり3度生きたりできる。これは、あきらめなかった人の心の記録です。カッコいいぞ!

「ポケット詩集」 田中和雄著

選者:桜木紫乃
言葉は宝石

昔の少年はとびきりのよい詩を読んだものだ。そうだそのとおりだ!! うれしいときもかなしいときも、詩があればだいじょうぶ!!

「沈黙のひと」 小池真理子著

選者:桜木紫乃
小説家の美学

人を見る目と身内を見る目に段差のない人が小説を書くんだ、と教えてくれた大切な1冊です。

「復讐の家」 ステフ・チャ著

選者:桜庭一樹
わたしも「誰かからのおすすめ」で読んだ本♡

LAで起こった黒人少年射殺事件から韓国系アメリカ人一家と黒人一家の過去が蘇るーー。非常に硬派な社会派サスペンスで、自分にとってはBLM運動をより深く知るための一冊にもなりました。(ライターのAkira♪さんの書評で存在を知って読みました)

「Schoolgirl」 九段理江著

選者:桜庭一樹
わたしも「誰かからのおすすめ」で読んだ本♡

表題作がすごく好きです。最後の〝あなたって誰?〟の下りを読んだとき、自分なりの〝あなた〟らしき大量の固有名詞が胸から紙吹雪みたいにバーンと飛び出すような幻影を見ました。ラスト6行のグルーヴ感も素晴らしいです。(文春のリボン王子からのお勧めで読みました)

「菜食主義者」 ハン・ガン著

選者:桜庭一樹
わたしも「誰かからのおすすめ」で読んだ本♡

表題作は奇怪な傑作です! ぜったい好きそうな作品なのに、刊行されて10年も存在に気づけず、昨年末にようやく読めました。『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ)を読まれた方にもぜひ。(Twitterでお勧めされてる方がいて読みました)

「折りたたみ北京」 ケン・リュウ著

選者:桜庭一樹
わたしも「誰かからのおすすめ」で読んだ本♡

景芳による表題作は〝SF設定を使って現代の社会問題を可視化する〟作品。今ここにある格差社会が描かれており、読みながら自分が立っている東京も折りたたまれていくようです。ほか夏茄さんの作品群もとてもとても好きです。(東京創元社の薙刀F嬢のお勧めで読みました)

「三つ編み」 レティシア・コロンバニ著

選者:桜庭一樹
わたしも「誰かからのおすすめ」で読んだ本♡

インドとイタリアとカナダに住む三人の女性の異なる人生がラストで驚くような繋がり方をします。昔から今までずっと胸にある苦しみが三人の勇気ある歩みによって浄化されていくようでした。(雑司ヶ谷を散策中に寄った新栄堂書店で推されていて買いました)

「芥川竜之介俳句集」 芥川竜之介著

選者:佐藤究
文豪の唯一の趣味

『鬼滅の刃』の大ヒットで“大正時代”が注目を集めている今、現実の大正時代を生きた芥川の俳句に触れてみるのはどうだろう。そのセンスの新しさにはっとさせられるかもしれない。
鈴懸(すずかけ)の花咲く下に珈琲店(カッフェ)かな(大正6年)

「俵屋宗達」 古田亮著

選者:佐藤究
再発見されつづける江戸絵師の魅力 

昔から「金屏風のあるかしこまった空間」が苦手だったが、『澁澤龍彦 日本芸術論集成』を読んでから“金屏風”への見方が変わり、宗達ファンになり、宗達を追いかけて本書に出会った。

「Nへの手紙」 森山大道著

選者:佐藤究
光と闇の愉悦
 
音楽を聴きコーヒーを飲みながら森山大道さんの写真を眺めるのは、私にとって無上の楽しみであり学びである。本を開いて風景に迷いこみ、本を閉じて目の前の風景に戻ってくる旅。

「ゴーイング・ダーク」 ユリア・エブナー著

選者:佐藤究
デジタルの闇が生むリアルの闇

ここ数年の「現実」が変容していく速度には驚くべきものがある。変容の要因となっているのはSNS等のデジタルカルチャーだ。本書はそのダークサイドを描いた現時点での決定版といえる。

「だれも死なない日」

選者:佐藤究
攻撃性が皆無のゾンビ小説
 
ある国で、ある日を境に、何があっても誰も死ななくなる。ようするにある意味ゾンビである(この語は作中で一切使われないとしても)。「死」が消滅したとき、人間の社会に何が起きるのか?

「まっぷたつの子爵」 イタロ・カルヴィーノ著

選者:島田潤一郎
忘れられない小説

忘れられない小説はいくつもありますが、よく思い出し、考えるのは、この傑作寓話のラストのことです。薄くてすごい本といえば、カフカの『変身』とこれ。

「文学は実学である」 荒川洋治著

選者:島田潤一郎
道しるべとなる1冊

読書がうまくいかないときや、何を読めばいいのかわからなくなったとき、いつも荒川洋治さんの本を開きます。ひとりで本を読む「勇気」をあたえてくれる、ぼくにとって聖書のような本です。

「ア・ルース・ボーイ」 佐伯一麦著

選者:島田潤一郎
永遠の青春小説

弊社から復刊したかった1冊。大学時代に読み、小説はこうでなくっちゃ、と思いました。奇をてらわず、言葉におぼれることなく、ど真ん中の直球で、読む人の心を打つ私小説。

「銀座界隈ドキドキの日々」 和田誠著

選者:島田潤一郎
読んでいなかったら読むべき本

こんなに痛快な「仕事本」もないと思います。働き、遊び、作品をつくる、若かりし頃の和田誠、篠山紀信、横尾忠則。一度読みはじめたら、とまりません。

「子どものための精神医学」 滝川一廣著

選者:島田潤一郎
目からうろこの一冊

昨年読み、感銘を受けた本。言葉とはなにか。社会とはなにか。一般とはなにか。ものごとをゼロから考えさせてくれる一冊です。名著という言葉がふさわしい。