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著名人選書フェア その7

読書は選ぶところから始まっています。
読みのプロでもある著作家の豊かな選書をお楽しみください。
本フェアは2022年5月8日まで神保町本店1階で開催しております。
神保町本店は2022年5月8日で一時閉店いたしますが
これからも、本というバトンをつなぎ続けます!
(選者の方は順不同で敬称は省略させて頂いております。)

「おちび」 エドワード・ケアリー著

選者:酉島伝法

孤児となった「おちび」が、革命期のパリで蝋彫刻家の弟子となり、蝋の見世物館で冷酷な未亡人とその息子と暮らすようになり、やがてヴェルサイユ宮殿に召し上げられて動乱の後にマダム・タッソーになるまでの――そう、これは蝋人形舘で知られるマダム・タッソーの生涯を、一語一語を彫琢した文章とたくさんの挿絵で虚実交えて蝋人形のごとく見事に象り直した物語。ひたすらに面白いです。

「中二階」 ニコルソン・ベ-カ-著

選者:酉島伝法

刊行当時に読んだときの衝撃はすごかった。なにしろ、エスカレーターに乗ってオフィスのある中二階で下りるまでの思考だけで一冊書かれているのだ。靴紐はどうして切れるのか、便座の違い、ストロー、ミシン目、回転するファンを飛び移る光沢、昼休みの始まりの瞬間――等々、細部に偏執的すぎて笑ってしまう観察や横ずれする思考、幾度も反転する注釈と本文など、小説ってこんなに自由でいいんだと気付かされる。

「供述によるとペレイラは…」 アント-ニョ・タブッキ著

選者:酉島伝法

舞台はリスボン。新聞の文芸欄を担当する中年の記者ペレイラは、ファシズムに傾きつつある世界を見てみぬふりで平穏に暮らしてきたが、助手に雇った青年に巻き込まれる形で現実に向き合い始める。「ペレイラはそう供述した」と端々に書かれながら、勾留中とおぼしき現在は一切描かれない空恐ろしさ。うだるような暑さの中、ペレイラが汗まみれでレモネードを飲む姿が(小説なのに)目に焼きつく。より重要性を増している本だと思う。

「孤独の発明」 ポ-ル・オ-スタ-著

選者:酉島伝法

遺品整理をしながら、いつも上の空で他者と距離をとっていた父親の実像をつかもうとして、その精神の迷宮にはまりこんでいく「見えない人間の肖像」と、自らの半生や、書くこと語ることについてを記した「記憶の書」の二部構成。ノンフィクションとも小説ともつかない語り口で、静かな思弁に引きずり込まれる。引っ越ししたのに前の家に無意識で戻って、気づかぬままベッドで眠ったという父親のエピソードが忘れられない。

「乱視読者のSF講義」 若島正著

選者:酉島伝法

手に入りやすい書名を上げたが、乱視読者シリーズは全冊お勧めしたい。版元品切れだった他の本も何冊かは電子化されている。小説をこんなに深く読み込むことができるのかと驚かされ、自分は字面を追いかけていただけだったのかと項垂れた。『乱視読者の帰還』の、ナボコフを入れ歯で読み解くテキストはとりわけ必読。刊行当時は未訳だった本も多く、翻訳されている本はほんの一部にすぎないという当たり前の事にも気づかされる。

「カーテン」 アガサ・クリスティ著

選者:長岡弘樹
今でも印象に残ってる小説

わたしをミステリ好きにしてくれた一冊(国内代表)。ジュブナイルを卒業し、初めて読んだ長編推理小説が、たしかこれです。「伏線とその回収」という営みがいかに面白いかを、本作によって教え込まれました。

「悪霊島 上」 横溝正史著

選者:長岡弘樹
今でも印象に残ってる小説

わたしをミステリ好きにしてくれた一冊(国内代表)。ジュブナイルを卒業し、初めて読んだ長編推理小説が、たしかこれです。「伏線とその回収」という営みがいかに面白いかを、本作によって教え込まれました。

「悪霊島 下」 横溝正史著

選者:長岡弘樹
今でも印象に残ってる小説

わたしをミステリ好きにしてくれた一冊(国内代表)。ジュブナイルを卒業し、初めて読んだ長編推理小説が、たしかこれです。「伏線とその回収」という営みがいかに面白いかを、本作によって教え込まれました。

「ミステリ映画の大海の中で」 小山正著

選者:長岡弘樹
大切な本

わたしをミステリ好きにしてくれた一冊(海外代表)。「人を操る」――この一大テーマにわたしが深い関心を抱くようになったのは、本作の影響によります。真相が解明されるくだりでは、本当に体が震えた記憶あり。

「地上で僕らはつかの間きらめく」 オーシャン・ヴオン著

選者:西加奈子
可視化されない痛みを知る小説

傷を負った人を見るとき、その背後にはもっと深い傷を負った人がいる。そして、その人たちの人生一つ一つが尊く、美しい。この小説はその美しさの只中で、静かに叫んでいます。

「青い眼がほしい」 トニ・モリソン著

選者:西加奈子
人生を変えた小説

何にも疑問を持たずに生きよう、そう半ば諦念を持って生きていた17歳の私に、「何故?」と感じる心を与えてくれた作品です。この「何故?」は、生涯消えません。

「シブヤで目覚めて」 アンナ・ツィマ著

選者:西加奈子
小説にしか出来ないことを教えてくれる小説

ただの黒い印刷物が、こんなにも鮮やかに、色んな場所へ連れて行ってくれる。このフォーマットであるからこそ出来ること、小説の大きな可能性を教えてくれます。

「サワー・ハート」 ジェニー・ザン著

選者:西加奈子
世にも美しい怒りの炎をたたえた小説

貧困、移民、少女であること、様々に書かれていることはあるけれど、この小説が持つ怒りの炎があんまり痛くて美しくて、ついついそばに行ってしまって大火傷をする、そんな作品です。

「ファットガールをめぐる13の物語」 モナ・アワド著

選者:西加奈子
自分だけの美しさを知るための小説

社会が望む「美」が、どれだけ人を、とりわけ若い女性を傷つけるか。よもやそれを手に入れたとして、それでもその人は幸せなのか? ページをめくるたびに、きっと思い当たる痛みに出会うはずです。

「プリズンホテル 1 夏」 浅田次郎著

選者:畠山健二

私の小説「本所おけら長屋」は「笑えて、泣ける」がウリです。そんな私にとってバイブルともいえるのが、このシリーズ! 私は「4巻目・春」の380ページのために、このシリーズを1巻目から読みだすのです!号泣します!

「プリズンホテル 2 秋」 浅田次郎著

選者:畠山健二

私の小説「本所おけら長屋」は「笑えて、泣ける」がウリです。そんな私にとってバイブルともいえるのが、このシリーズ! 私は「4巻目・春」の380ページのために、このシリーズを1巻目から読みだすのです!号泣します!

「プリズンホテル 3 冬」 浅田次郎著

選者:畠山健二

私の小説「本所おけら長屋」は「笑えて、泣ける」がウリです。そんな私にとってバイブルともいえるのが、このシリーズ! 私は「4巻目・春」の380ページのために、このシリーズを1巻目から読みだすのです!号泣します!

「プリズンホテル 4 春」 浅田次郎著

選者:畠山健二

私の小説「本所おけら長屋」は「笑えて、泣ける」がウリです。そんな私にとってバイブルともいえるのが、このシリーズ! 私は「4巻目・春」の380ページのために、このシリーズを1巻目から読みだすのです!号泣します!

「青葉繁れる」 井上ひさし著

選者:畠山健二

東北の名門高校に通う、落ちこぼれ4人組の青春記。少年から青年に変化していく主人公たちの心に芽生える〝恋〟や〝性〟への思い。自分のことを思い出してトキメキます。教師や校長先生のセリフにはシビれます!

「現代落語論」 立川談志著

選者:畠山健二

粋をウリにした古今亭志ん朝なら、落語論など絶対に書かなかっただろう。 野暮といえば野暮なのだが、そんな枠を超越してしまう、奇才・立川談志の 真骨頂がここにある。

「錨を上げよ 1」 百田尚樹著

選者:畠山健二

百田尚樹作品でもっとも輝いているのは、この作品なんです。じつはこれ、百田さんの処女小説なんですよ。ある意味、滅茶苦茶な物語ですが、底知れぬハワーを感じます! 読みながら何度「やめろ~!」「馬鹿野郎~!」と叫んだことでしょう!

「錨を上げよ 2」 百田尚樹著

選者:畠山健二

百田尚樹作品でもっとも輝いているのは、この作品なんです。じつはこれ、百田さんの処女小説なんですよ。ある意味、滅茶苦茶な物語ですが、底知れぬハワーを感じます! 読みながら何度「やめろ~!」「馬鹿野郎~!」と叫んだことでしょう!

「錨を上げよ 3」 百田尚樹著

選者:畠山健二

百田尚樹作品でもっとも輝いているのは、この作品なんです。じつはこれ、百田さんの処女小説なんですよ。ある意味、滅茶苦茶な物語ですが、底知れぬハワーを感じます! 読みながら何度「やめろ~!」「馬鹿野郎~!」と叫んだことでしょう!

「錨を上げよ 4」 百田尚樹著

選者:畠山健二

百田尚樹作品でもっとも輝いているのは、この作品なんです。じつはこれ、百田さんの処女小説なんですよ。ある意味、滅茶苦茶な物語ですが、底知れぬハワーを感じます! 読みながら何度「やめろ~!」「馬鹿野郎~!」と叫んだことでしょう!

「栗原家のごはん」 栗原心平著

選者:畠山健二

料理が趣味の私ですが、料理本はあまり読みません。ですが、栗原心平さんの料理本だけは別です。気取らない男の料理はとても参考になります。「ごちそうキャンプ」も好きですが、やはり最新刊を推薦したいです!

「短編画廊」 ローレンス・ブロック著

選者:波津彬子

ローレンス・ブロックはアンソロジーを幾つも編纂している人ですが、これはまずエドワード・ホッパーの絵があり、それから書き下ろす企画短編集です。絵から作者たちが物語をどうイメージをしたかも楽しめるところです。

「半七捕物帳 1」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「半七捕物帳 2」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「半七捕物帳 3」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「半七捕物帳 4」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「半七捕物帳 5」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「半七捕物帳 6」 岡本綺堂著

選者:波津彬子

かつて岡っ引きだった半七老人が若い新聞記者に昔の事件を語るという設定が私には萌えポイントです。今読んでも文体は古さを感じませんし、情報収集と推理で事件を解決していくので、その当時の江戸がリアルに味わえます。

「366日物語のある絵画」 海野弘著

選者:波津彬子

古い物語を描いた絵が好きなのですが、この本はそういう物語絵を366点も集めて解説してあります。文字を追うのに疲れたときぼんやり眺めたりするのもいいかなと思います。

「葉隠 上」 山本常朝著

選者:原哲夫
武士道と云うは死ぬ事と見付けたり

最期の時の隆慶一郎先生から教わった本です。アラサーの頃、深く思考する方法を学びました。

「葉隠 中」 山本常朝著

選者:原哲夫
武士道と云うは死ぬ事と見付けたり

最期の時の隆慶一郎先生から教わった本です。アラサーの頃、深く思考する方法を学びました。

「葉隠 下」 山本常朝著

選者:原哲夫
武士道と云うは死ぬ事と見付けたり

最期の時の隆慶一郎先生から教わった本です。アラサーの頃、深く思考する方法を学びました。

「虫と歌 市川春子作品集」 市川春子著

選者:伴名練
一番「泣ける」ファーストコンタクト

大ヒット作品『宝石の国』の作者による、繊細にして美しい短篇集。野球少年meets地球外生命体の意外なドラマ「日下兄妹」は涙が零れそうになる必読の傑作!

「祈りの海」 グレッグ・イ-ガン著

選者:伴名練
アイデア作りで影響を受けた本

毎朝別人として目覚める男、全人類規模の未来日記、平行世界を渡る暗殺者……驚異に満ちた世界最高のSF短篇集! この本を読んだから書けた作品が多数あります。

「ハーモニー」 伊藤計劃著

選者:伴名練
作家へのトリビュート同人誌を作った本

生命の帝国たるディストピアに抵抗するため自殺した少女たちが、やがて人類を彼岸へ導く! 学生時代に衝撃を受け、SF研の仲間と伊藤計劃同人誌を作りました。

「人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル」 竹田人造著

選者:伴名練
Netflixドラマ化希望作品第1位

落ちこぼれAI技術者×フリーランス犯罪者、凸凹コンビが現金強奪作戦に挑む! 軽妙なキャラによる痛快なクライムアクション。リアルなAI描写も読みどころ。
人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル

「月の部屋で会いましょう」 レイ・ヴクサヴィッチ著

選者:伴名練
5分で読める、世にも『奇妙過ぎる』物語

一話約10ページ、予測不能の「変」な世界。恋人の編んだセーターの中で迷子に!? 肌が宇宙服になって空へ飛ぶ病気!? 不気味シュールで時に切ない幻想玉手箱。

「白い病」 カレル・チャペック著

選者:東雅夫
いま読むべきヘンな小説ベスト5

「黄色い笑い」が、いわゆる〈黄禍論〉をベースにしているのに対して、こちらの疫病小説は〈白〉=白人種の衰退を暗示しているのだとか。厭戦気分に充ちた異色の疫病小説。

「赤い死の舞踏会」 エドガー・アラン・ポー著

選者:東雅夫
いま読むべきヘンな小説ベスト5

〈黄〉に〈白〉ときたら、やはり〈赤い〉疫病の恐怖を描いた本篇も挙げておくべきだろう。吉田健一の稀代の名訳で、是非じっくり、じんわりと再読していただきたい。

「黄色い笑い/悪意」 ピエール・マッコルラン著

選者:東雅夫
いま読むべきヘンな小説ベスト5

若き日の澁澤龍彦を熱狂させた、正調モダニズム小説の鬼才マッコルラン! およそ百年の時を経て、いま甦る「ヘン」な疫病文学の大傑作「黄色い笑い」と、奇妙奇天烈な人形綺譚「悪意」を収録。

「綺羅と艶冶の泉鏡花〈戯曲篇〉」 泉鏡花著

選者:東雅夫
いま読むべきヘンな小説ベスト5

自決目前の三島由紀夫が、最期まで上演に意欲を示し、対談相手の澁澤龍彦も賛同したという伝説の戯曲「山吹」──「うむ、魔界かな、此は、はてな、夢か、いや現実だ。」という決め台詞で知られる、これは途方もなくヘンな芝居である。

「ブラック・トムのバラード」 ヴィクター・ラヴァル著

選者:東雅夫
いま読むべきヘンな小説ベスト5

〈黄〉に〈白〉に〈赤〉と来たので、ついでに〈黒〉も。これは黄禍論の信奉者だったラヴクラフトの怪作「レッド・フックの恐怖」を、黒人青年を主人公に据えて、鮮やかに反転させた意欲作である。

「シッダ-ルタ」 ヘルマン・ヘッセ著

選者:ヒグチユウコ

学生の頃読んで河の表現に震えた作品。

「金箔のコウモリ」 エドワード・ゴーリー著

選者:ヒグチユウコ

ゴーリーのバレエダンサーへの眼差しがすごい。

「ゆかいなかえる」 ジュリエット・キ-プス著

選者:ヒグチユウコ

子供の頃なんどもなんども読み返した絵本の一冊。

「るん(笑)」 酉島伝法著

選者:牧野修
とにかく怖い本

スピリチュアルと科学が逆転した本当に厭なディストピア世界の小説。しらっちゃけた晴天の真昼に描かれる高熱の時の悪夢のような気持ち悪さ。おかしな病気に感染したような気分で本を閉じる。

「裏バイト:逃亡禁止 1」 田口翔太郎著

選者:牧野修
とにかく怖い本

ネット誌「裏サンデー」で現在も連載中の漫画作品。悪意ある怪異を臭いで嗅ぎ取るユメちゃんと不死身の白浜ハマちゃんの二人は奇怪な裏バイトで金を稼ぐ。特異な画調で描かれる異世界存在は見るだけで穢れたような気分になる。

「悪い本」 宮部みゆき作・吉田尚令絵

選者:牧野修
とにかく怖い本

順調に巻を重ねている怪談えほんシリーズからこの一冊を。ほんとに子供に見せて大丈夫なの? と思わせる作品ぞろいの怪談えほんの中でも一番質の悪い、読むこと、知ってしまうことの恐怖を描いた傑作。

「ボギー」 黒史郎著

選者:牧野修
とにかく怖い本

ドキュメンタリー的な手法で、新聞記事や取材ノート、郷土誌などの断片を繋ぎ描かれる「祟り」というものの正体。読後いつまでも薄気味悪さが消えない。